Van Dyck と肖像画の構図

ヴァン・ダイクという画家の絵を観ました。ルーベンスの弟子にあたる人ですから聖書を題材にした絵を描くのが得意ですが、ほかに、イングランドの宮廷画家として、数々の肖像画も手掛けています。

今回はその中の、チャールズ1世の王女メアリーの肖像画です。ボストン美術館展の中の展示です。

なかなか素敵な衣装を身にまとった愛くるしくもおませな顔をした王女が魅力たっぷりに描かれているのですが、これがどうしてもすんなり目に飛び込んでこない。なぜだろうと考えますと、これが「構図」の問題でした。

全身を描き、なかでも衣装をいっしょうけんめい描いたからでしょう、頭部がキャンバスの上にきてしまい、頭上の空間がキャンバスに残っていないのです。ダイクの肖像画の中にはどうしてもこのような構図のものが何点かあるようで、素人の私が申し上げるのも非常に失礼なのですが、これがダイクの唯一の欠点だろうと思います。

たしかに、肖像画で全身を描くのはもともと難しいわけで、たとえば肖像画の得意なレンブラントなどは殆ど全身の肖像画は描かなかったそうですし、たまたまこの展覧会にあったレンブラントの描いた前進肖像画は、人物を椅子に坐らせて構図をまとめています。

ここで思わなければならないのは、やはり、照明器具とこの構図の問題です。

こじ付けではなく、まったくこれと同様の問題が照明器具、とりわけ壁付けのブラケット照明に起こりがちなのです。キャンバスとモデルの頭の位置の関係と、天井とブラケット照明の取り付け位置の関係が似ているのです。やはりある程度ブラケットと天井とのあいだに空間が欲しいといつも思っています。

廊下のブラケット照明などは、邪魔にならないようにと上にあげてしまいがちですが、それはいけません。中には上に上げてもそれなりに格好の良い器具がありますが、通常はそのあたりを充分に気をつけて欲しいものだと思います。

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