これはいろんなケースがあって、ハウスメーカーさんを選んだ時点で契約の内容によりその選択肢は狭まりますが、可能性があるのは次のようなものです。
【だれが購入するか】
まず最初に知っておいて頂きたいのは、ハウスメーカーが大手照明メーカーの商品を購入すればかなり安く入手できるため、施主への販売価格との差額を得ることができるということ。最近は一般消費者もネットで買えば定価の約半額でも購入できるという現実を見ると、ちょっと時代遅れな感じもしますが。
A.ハウスメーカーさん(HM)が特定の照明メーカーの器具を選択し、購入する。家の基本価格に入っているので、施主は原則照明を変更することは出来ない。最近の注文住宅ではほとんど見られない。
B.HMが特定の照明メーカーを通じて照明プランを作成。施主の希望を聞きながら調整をするが、基本的にHM指定のメーカーのものに限る。施主支給を希望すると、「それはできない」「それは家の保証に絡むので遠慮してほしい」として、結局指定メーカーの器具から選ばされる。
C.HMが特定の照明メーカーを通じて照明プランを作成。施主の希望を聞きながら調整をして、一部は施主支給の照明器具を選ぶこともできる。施主は比較的自由に自分の好きな照明を探して購入し、それをHMの指示通りに持ち込み、設置してもらう。最近一番多いのがこのパターン。施主の希望も反映しやすい。ただそれでも、かなり強くHMの購入を進められたり、施主支給の台数などに制限をかけるところもある。
D. HMが照明プランを作成することはせず、基本的にすべての照明を施主が決める。施主は自分で照明メーカーに赴いてプランを作ってもらったり、自分で計画をし、購入をする。自由度は100%あるが、正直ちょっとしんどいかもしれない。また、ダウンライトなどは構造との絡みがあるため結局HMに選んで購入してもらったりする必要がある。
【誰が設置するか】
ほとんどの新築家屋の場合、つけるのはHMが手配した電気屋さん(電気工事士さん)です。
HM手配の照明はもちろん、施主支給の照明もHMから いつ頃、どこへ 運び込んでくれとの依頼が来ますから、それに従って手配しておけば、電気屋さんが設置してくれます。
ただ、上記のAやBの場合、どうしても希望の照明をつけたいときには、引き渡し後に改めて希望の照明をつける、ということになります。そのときは、電気屋さんは施主が照明器具のみならず、電気屋さんも自分で手配しなくてはなりません。引き渡しのときには、それを前提にして、たとえば天井に引掛けシーリングをつけたり、壁からの照明用に電線だけ用意して隠しておく、などの準備も必要です。
リフォームと言ってもいろいろあります。照明に関して言うと、壁紙や天井を剥がさないリフォームは基本的に照明には影響がないので、ここでは、かなり大規模なリフォームを想定していると理解してください。
(簡単なリフォームすなわち、壁紙や天井を剥がさないケースでは、5項「既存の照明を新しいものに取り替えるときの注意点」にお進みください。)
新築と違って、リフォームの場合は打ち合わせが始まるとそれに引き続いてすぐに工事が始まるケースもあり、照明器具の選定に時間がかけられないことも多いです。さらに、希望の照明器具をつけたいと思っても全体の明るさが不足するのでつけられなかった、などということも起こります。
ですから、リフォームを思い立った時点で「照明」のことについても研究を開始し、打ち合わせのときには、希望の照明およびそれを設置したときに不足する光量を補うための照明器具(ダウンライトなど)について話し合って頂きたいものです。
このタイミングで特に照明に関するリクエストが施主側から出てこなければ、リフォーム会社は既存の部屋の既存の照明についてはそのまま生かす、というのが基本的な考え方です。たとえば、6畳の部屋を2つくっつけて12畳の広いリビングにする場合でも、もとの照明位置をそのまま引き継いで、12畳にメイン照明が2台つくことになります。それではなく12畳の真ん中に大きめのメイン照明をつけたい、またそれだけでは部屋の四隅が暗くなりそうという場合に備えて、ダウンライトを用意してもらえばうまく行きます。
とても極端な例を申しますと、簡単な打ち合わせでリフォームを始め、終盤に近くなってから「〇〇日までに照明を用意してくれたら、既存の照明に替えてそちらを設置してあげますよ」と言われて、慌てて弊社に問合せをされるお客様がおられます。そのケースではいろいろと制限があって(準備にかかる日数とか在庫とか)、すこし妥協しなければならないこともあります。
ですから、もう一度言いますが、最初のリフォーム打ち合わせのタイミングで、しっかりと照明に関しても構想を伝える、あるいは、具体的な照明器具名をだして、これをつけたいと希望を伝える、というのがとても大切です。
マンションの照明が戸建ての照明と異なるのは、天井照明が基本的に「引掛けシーリング」だということです。
リビングやダイニングといった、比較的大きな照明器具を設置する場所でも、引掛けシーリングが天井についています。ですから、次のいずれかの対応が必要です。
A.引掛けシーリング対応の照明器具を探してきて設置する。
引掛けシーリング用の照明はいくら重くても5㎏(*)ですから、選ぶときに選択肢が限られます。素材的にもデザイン的にも「軽め」なものになりがちです。
(*)リビングなどによく使われる「埋め込みローゼット型」の引掛けシーリングであれば両側にフックがついていますが、それにしっかりと重量が掛かるのであれば、10㎏まで吊り下げることができます。
B.天井の引掛けシーリングを外して天井構造に重量が掛かるべく電気屋さんに工事をしてもらう。
実際には、リビングやダイニングには、一般的に「埋め込みローゼット型」引掛けシーリングがついています。下から見える円盤部分を外せば裏側に隠れていたボックスが現れますが、このボックスにきちんと照明器具をつなげば、10㎏までの照明を綺麗に吊ることができます。(コンコルディア照明ではこのボックスに接続できるベースをご用意していますので、ごく簡単な工事で済みます。)
【天井照明の日焼け】
長年使ってきた照明器具はたとえ蛍光灯など熱の出にくい器具であっても、ある程度の日焼けがあるものです。天井の壁紙などに例えば丸く跡形が残っていたりしますので、照明交換を予定するのであれば、まずは既存のものをできる範囲で外し、その点を確かめるのがよいでしょう。あまり日焼けが強くてしかも壁紙を貼り替えないのであれば、その跡形が隠れるような器具を選ぶと良いでしょう。 もっとも、たとえば新しい器具に近いところの跡形(2-3㎝大きいくらい)なら、じつはそんなに気にならないこともあります。
【器具のうらの電線穴とネジ穴】
既存の直付け(引掛けシーリング式ではなく直接結線してネジで固定してあるタイプ)の照明器具を外したとき、とくに壁の照明に多いのですが、壁から電線が出てくる穴が大きすぎて次の照明器具をつけたときにその穴が隠れないというケースがあります。(通常壁から電線を出すときには10-15ミリ程度の穴を開けそこから線を出します。) また、前の照明を外したらネジ穴が残り、次の照明をつけたときにもそのネジ穴が隠れない、といったこともあります。ネジ穴が隠れる新しい器具を見つけるか、あるいはそれを隠してくれるよう新しい器具を探す必要があります。 もっとも、残ったネジ穴をパテを使って補修する という方法もあります。白系の壁紙の場合であればうまく行くのではと思います。
【下地とネジの関係】
天井照明でも壁照明でも、直付けで取りつける際には、木ねじがしっかりと下地に入っている必要があり、新築時などはそのあたりの準備をしたうえで作業されています。 が、それを今度取り換える際、新しい照明器具のネジ位置が前の器具のものと同じとか似通っているとは限りません。 例えば前の壁照明は縦に10㎝間隔で2本のネジを使っていて、つまり下地も縦方向に用意されていた場合、次の照明の固定用ネジ2本が横方向に10㎝離れる、というようなケースでは(ちょっと極端な例ですが)うまくいかない可能性があります。下地の確認をしたうえで新たな器具を選ぶ必要があるのです。(計測する機器もあり、工務店さんや電気屋さんなら持っていると思います。) と言いながら、たいていの壁照明の場合は縦方向にネジ位置が設けられているので、問題ないとは思いますが。